研究会ファッションデザイン教育研究会
主 査大江瑞子
会 場61教室
テーマ研究経過と今後の方向
ファッションデザイン教育カリキュラム研究会は1998年7月に第一回を開催し、本年2000年7月に5回目を終了しました。色彩調和とイメージ配色からスタートし、3DCGでの色彩調和論、肌色の基礎知識と個々に似合う配色、さらに魅力的な色の選ぴ方。次に素材の基礎知識、新素材、また感性別の分析、ニット素材の知識、さらに副素材(芯、裏地、他)と進めてきました。

2000年の2月は、JUKI(株)取締役工業用ミシン事業部企画管理本部長の近藤繁樹氏による「アパレル生産におけるグローバル化と日本のあり方」と題した研究会を開催。アメリカ、イタリア、目本の例をあげ今後の市場の方向やあり方について解説。

最近のアメリカのアパレル企業の戦略は、IT革命が先行した驚異的なものであり、自国では企画。他はインドを中心に生産、物流、販売はコンピュータネツトワークで管理。どこの国で何が売れ、その国の志向、体型等の共通データを相互交換しながら実用衣料、カジュアルウェアの市場を拡大し、無駄なことは一切作らないのがアメリカの姿勢です。

イタリアの方向性は狭く奥深く専門分野に特質を見る高級衣料の伸びです。イタリアのアパレルの特徴は、仕事の分業化が極端ではなくパタンナーが自ら縫製まで行い必要であれぱ修正まで行うように、非常にモデリストのレベルが高い。特に高級品は品質低下を懸念し海外生産はせず自国生産を守っています。ドイツ、イギリスはすでに自国での縫製技術力を喪失し、フランスでも懸念されるに至っています。

日本では顧客のニーズに対応できる製作技術が欠けている点で、早急に時代が変化し、市場のあり方が変わっていることを認識しなければ、重大な局面から脱し得ません。日本の優位性は、天然繊維、合成繊維などの優秀な素材が豊富であり、さらに優秀な機械技術があることです。今後のアパレル業界に期待します。 以上が講演の骨子でした。

次にJUKI(株)、秋田ミシン(株)による新機種ミシンの実技を行いました。7月1日(土)には田中服装(株)による新しいデザインを生かすためのハイプレタ縫製テクニックとしてウールジヤケットのテクニックの実技を研修しました。

今後のファッションデザイン教育カリキュラム研究会は、21世紀を見据えた未来志向、生命の充実、さらに国境線を引かないグローバルさに着眼し、IT革命を含めて研究を進めたいと思っています。そして、今後のファッションデザイン教育のあり方について研究していきます。