研究会インターンシップ研究会
主 査オフィス・エム・ツー 本山光子
会 場51教室
テーマ産学協同によるインターンシップ研究
一宝塚造形芸術大学における神戸ファッション協会、繊維リソースセンター石川のコラボレーション型実践教育を通して一
当日、使われたPowerPointによるプレゼンテーション資料
  1. 宝塚造形芸術大学における実践教育テーマと対象学年・3年生を対象として「ファッション企画」
    • 4年生を対象として「ファッションマネジメント」
    • 3、4年生を対象として「ニットデザインにおけるコンピュータ支援教育に関する研究」文部省研究助成 平成8年~平成11年

  2. 希望職種を明確化したコラボレーション方式による実践教育の概要
    • 3年生後期に実験的にコラボレーション方式で教育を行うために、次のような希望職種を明確化する。スターデザイナー希望者、ファッションバイヤー希望者、パタンナー希望者、イメージコンサルタント希望者。
    • 10~2月までの期間で、次のようなステップでプランド企画を実施企画コンセプト、デザイン画作成、ハンガースケッチング、パターン作成、サンプル作成、プロモーション企画
    • この各ステップをどのようなスケジュールで作業を進めていくかという、スケジュール企画も組み立てる。
    • 4年生になってから、この3年次の「ファッション企画」科目の中で比較的熱心なチームを選んで、神戸プロジェクトチームと金沢プロジェクトチームを編成。

  3. 金沢方式(繊維リソースセンター石川におけるコラボレーション)の概要)
    (1)応募方法と第1次予選について
    • 石川産地が主催し、素材提供をして行われた日伊ファッションコンテスト
    • イタリアのEuropean Fashion Schoolと日本の専門学校・大学の代表校のそれぞれの学生によるコンテスト
    • 4名のコラボレーションチームを編成ファッションディレクター、ファッションデザイナー、パタンナー、縫製担当
    • コンテストテーマ「都会の昼と夜」
    • 最初に生地見本が配布され、登録したチームはその中から使いたい生地を選びデザイン画10体を作成し応募。5月末第1次作品紡め切り。
    • できるだけ、ハイテク技術を活用することが条件であり、またデザイン1体の作品応募ではなく、専門分野の異なった担当者により構成された複数点の企画・当大学では4年生対象の「ファッション・マネジメント」科目の延長路線の一環として取り粗んだ。

    (2)最終審査について
    • 総応募チーム数72チームの中から、最終審査で6チームが遷ばれた。
    • 最終審査の会場は8月5日、金沢市地場産業振興センター内。
    • 第1次審査を適追したデザインの方向性に合わせて、提供を受ける産地テキスタイル会社訪間。
    • 最柊審査では、デザイン画10体の中から、4体を選んで、作品を制作し、会場にてショーを開催すると同時に、企酉内容を18メートル四方のパネルに展示することが条件。

  4. 金沢方式によるインターンシップとしての効果
    • 素材産地とタイアップしながら作品づくりを行う休験学習を行えた。
    • 産地の開発技術者と対話しながら、企画イメージを製品化するという実習を経験できた。
    • 一定の期間までにチームで企画制作を完成させるというマーチャンダイジング・スケジユールを体験できた。
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  5. イタリア方式との比較から把握できたこと
    • European Fashion Schoolのコラボレーション企画のあり方を理解できた。
    • 特にイタリアでは90年代に入ってトレンド
    • ファクターよりもオケージョン(Party/Travel/Work/Comfot)を重視しており、今回もファッション・ディレクションとして、生活の中でのワードローブ計画を重視している。
    • まだ日本では「創・工・商」の時代で、日本チームの作品はまさに「クリエイティプ」が第1優先となっていたが、これに対してイタリアの学生は「消・商・創・工・情」に近い体制で取り組んでいる。
    • イタリアでは80年代にベネトンが登場して、イタリアの「創・工・商」のアパレル・ビジネスのあり方を「商・創・工・情」のビジネスへと変容させた。それに対応してクリエイティプ能力をもったインターナショナル・ブランド企業が「消・商・創・工・情」へと変容していった。
    • 日本ではちようど「ユニクロ」が80年代のベネトンの役割を果たしつつあり、「クリエイティプ」全盛のデザイナーズプランド時代の限界が急速に表面化しつつあるといえる。
    • 今回のコンテストでも、イタリア、日本の両面からマーケティング、マーチャンダイジングの必要性が強調されてきた。

  6. 神戸方式(神戸ファッション協会におけるコラボレーション)の概要
    (1)主催と参加校
    • 神戸ファッション協会が主催し、神戸アパレル業界が
    • 学生を対象とした実習つきのセミナーを開催。
    • 参加校は事前に事務局により5校0校当たリ1チーム4名)が選ぱれていた。
    • 具体的なセミナーの内容については6月18日にオリエンテーションが行われた。

    (2)企画実習肉容
    • 25歳以上の囲塊ジュニアを対象としたプランド企画を行うことが条件。
    • オリエンテーションをもとに、各チームが市場調査を行って、どのような企画を考えるかという予備作業を7月27日までに行っておくようにという指示であった。
    • 実習期間は7月27日~8月8日まで。
    • 各実習日の午前中は神戸のアパレル企業各社の実務家が講師となり講義、午後はステップを踏んだ実習をしながら企画書を作成していくという方式がとられた。
    • 最終日はアパレル企業、代表的な小売店のバイヤーの前でプレゼンテーション。

  7. 神戸方式によるインターンシップとしての効果
    • 実務家の考え方を学習することができた(学校の先生方の教育方法とは基本的に異なる)。
    • 今回は各社で現在実施されている方法をモデル化してあり、売場の月別マーチャンダイジングを組み立てていく方式を体得することに重点が置かれていた。
    • 現場の講師からは、このMDの仕組みと同時に、今各企業で何を企画しているかという生の話が聞ける、ということが学生たちにとっては大きなメリツト。
    • また企画していく各ステップにおいてコーチとしてコメントをもらえる6・企画の最終着地点を実際のバイヤーに対する企画プレゼンテーションに置かれている点は学生にとって実践的価値が高い。

    <参加したことのメリツト>
    • 約10日間にわたる実習を適して、多くの実務家の意見を聞くことができた。
    • それと平行して、実際の企業での企酉ラボラトリーに参加して、社会人になった気分が味わえる。
    • 実務家からコーチ、論評してもらえるので、実際に就職した場合の人間関係やコミュニケーション方法が体得できる。
    • 企画する上で、実務家はどのような考え方や手法を使って仕事しているのかが理解できる。

  8. インターンシップの間題点と方向性
    • 現時点では、各学校の教育カリキュラムと産業界の実務方式との整合性が必ずしもとれているとは言えないために、これらのインターンシップ方式を字校の教育体系の中に粗み込むことは、難しい点が多い。
    • インターンシップを何年生からスタートすぺきか?
    • 実替のための交通責や材料責、指導料をどこまで学生が負担すぺきか?
    • インターンシップに出すためにどこまで裏前の教育を行っておくぺきか?
    • インターンシップ受け入れてくれる企業や囲体が果たして存在するか?
    • インターンシップの受講を有料にすべきか?
    • 産業界と字校、および学生との間のコーディネーター役を演じる教授スタッフが果たして必要か?