研究会服装造形学研究会
 文化女子大学 渡部旬子、佐藤眞知子、池田和子
会 場51教室
テーマ着装シミュレーションソフトの活用事例
服造りの分野においても、IT(情報技術)が3次元CGにより仮想現実を造ることを可能とした。着装シミュレーションは、企画段階でのサンプル作りを、仮想現実に置き換えることにより、大幅な時間とコストの削減を図るものとして、期待されている。本報は、仮想が現実にどの程度近似し、実際に活用可能なものなのか着装シミュレーションソフトを試用することにより、実状を明らかにすることを目的としている。方法は、仮想縫製システム「i-designer」を使用し、素材とパターンの関係がつかみやすいシンプルなデザインとし、パターン2種、素材3種を用い、9ARサイズのボディに着装させ、シミュレーションを試みる。また同条件で実際に縫製、着装したものを写真撮影し、比較観察する。

その結果、今回使用したソフトの着装シミュレーションのための情報は、パターン形状、着衣基体であるボディの形態、素材の物性、縫合指示の4パラメーターから構成されていた。機能としては、 立体イメージの具現化と、あらゆる方向からフォルムの立体感を捉えることができるのに加えて、立体と平面の関係を連動させ、パターンチェックを容易にした。シミュレーション結果と実際に製作したものとをシルエットにより比較した結果、概ね近似しており問題のない結果と考えられる。

以上のことより着装シミュレーションソフトは、実際に活用可能なことが伺えた。尚、報告内容の一部は、通産省工業技術院物質工学工業技術研究所による依頼試験を受諾し、進めてきた研究の一端である。また、使用ソフト「i-Designer」は、中小企業創造基盤技術研究事業に係る研究成果をもとにソフトメーカー(株)テクノアと通産省所管の物質工学工業技術研究所、岐阜県生産情報技術研究所、岐阜県製品技術研究所との共同開発したものである。

<オペレーション協力>
株式会社テクノア VRシステム事業部 後藤大介 http://www.i-designer-web.com/