平成16年10月2日 ファッションビジネス学会会員各位 殿
ファッションビジネス学会 関西支部 “和文化ファッション研究部会”設立についての趣意書 平素はファッションビジネス学会関西支部の活動にご理解とご協力を賜り厚く御礼申し上げます。さて、ファッションビジネス学会関西支部では、この度新しい研究部会として“和文化ファッション研究部会”を設立したいと考えております。 例えば着物を中心とする和装は、いまや成人式や結婚式など極めて限られた儀式における着用に限定され、日本人の民族衣装に対する誇りという観点から見れば、その立場は極めて危機的な状況にあります。しかしその一方では、各地で祭りや花火大会などの伝統行事を再評価する動きが活発化し、若者の間ではゆかたをTシャツ感覚で着こなすなど、和装が自然と若者たちのカルチャーに溶け込んでゆく動きも出てきています。日本人にとって、洋装よりもはるかに古い歴史を持つ和装は、日本人の心にDNAとしてしみ込み、着物を着用するだけで、自然と日本人としてのマナーをこなせるという一面さえ持っていると言われています。 武士道、茶道のわび・さび、和服など日本の文化は様々な分野で、日本の特有の文化を育み、日本人特有の思考を形成してきました。グローバルに視野を移せば、日本の伝統芸術・デザイン・テキスタイル・雑貨・織物などいわゆる「和のテイスト」は、世界のアートシーンやファッションにおいて様々な影響を与えてきました。これらの観点から、日本人のファッション観を読み解く上で、私たちは一度原点に立ち返り、日本人の文化的な側面まで掘り下げ、再整理して考えることが重要であると考えました。 当研究部会では、和の心・伝統文化などを切り口に、“和文化ファッション論”として研究し、その中から見えてくる今後の日本のファッションビジネスの可能性を探っていきたいと思います。研究の方法論といたしましては、和文化ファッションを「マクロ・マーケティング」の視点に立ち、「ファッション・カルチュラル・スタディ」という形で、英国で注目されている方法論を基盤にして研究を進めたいと考えております。 何とぞ、当研究会設立の趣旨をご理解いただき、皆さまのご賛同と専門委員にご参加をお待ち申し上げております。よろしくお願い申し上げます。 敬具
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