[内 容]
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第1部: | ケーススタディ「そごう心斎橋本店の店づくりと地域活性化貢献」 |
| 講師 そごう心斎橋本店・販売促進部長 森田岳史 氏 |
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第2部: | テーマ「大阪の百貨店`2001年問題`でFB業界はどう変わる」 |
| 流通ジャーナリスト・大阪文化服装学院講師 関 義徳 氏 |
− 第1部 −
9月7日に新生オープンした、そごう心斎橋本店の2ヶ月マーケットの反応と今後の対応について、事例紹介がありました。
- そごう心斎橋本店の店舗づくりでは、昭和9年の営業方針に戻り、商品とサービスを備え楽しみながらお買い物が出きる百貨店として、4つのキーワード(・空間、ゆとり、安らぎ・こだわり商品・サービスおもてなし・接客、専門家)と「お遊びに、お買い物」のキャッチフレーズを現在の店舗づくりに活用された。
- 開店2ヶ月マーケットの反応では、キタ地区との差が上期の24%から9、10月期の約11%に縮まったことや、地下鉄の乗降り率も20~25%アップになるなど、地域の活性化に反映されている。また報道関係では最高255件の取材があった。
- 開店2ヶ月の営業動向では、入店数3100万人、売上げ85億円で平日は4万人、休日は6万人の入店数で、入店の多い横浜店でも平日が6万人、休日8万人である。また50歳以上マチュアシニア層が41,3%で大半を占めているがキャリア層が少ないことが今後の問題点である。その為に支持を受けてない売り場は化粧品、インナー、ギフト、OL、キャリアなどである。
- 今後の対応としては、2011年対応で百貨店の売り場面積の増床に伴い、心斎橋だけでなく難波の町との活性化や、大丸百貨店との規模の競争ではなく互いの販売員による商品紹介などクリスマスにかけて実施予定である。また入店客数の増加の為に、キャリア層をターゲットに夕方を活性化させるフライデーに簡単なパーティなど、実現に向けての計画がされている。これからも注目していきたい百貨店である。
- 第2部 -
≪大阪の百貨店「2011年問題」でFB業界はどう変わるか≫について、問題点が各業界に与える影響を、関氏から発表をしていただきました。
- 問題点として
- 百貨店の新設や増床のラッシュ続で、都心部の魅力がアップし、都心部人口の回帰に弾みがつく。
- 2011年には売り場面積が現状の1.5倍となり、都市VS郊外競争の激化が起こる。その時の市場規模が一定だと効率が67%になる。
- 採算悪化で百貨店の整理淘汰が進む(すでに松坂屋、三越は閉鎖)、さらに固定費が高く、粗利利益が低い経営体質からの脱皮を迫る為、業界再編となる。
- 百貨店業界に与える影響
- 立地変動が進む(かつての好立地がそうでなくなる可能性も)
・JR大阪駅周辺はヨドバシカメラに次ぐ北ヤード開発による駅裏の注目や、阪神電鉄による西梅田開発でのハービス、ハービスエントまた阪急電鉄による茶屋町周辺開発の梅田コマ、NUの開発、HEPナビオの立替計画などがある。
- 採算悪化の為(百貨店の収益改革へ)
・ 百貨店の経営体質の特徴として人件費、宣伝費、配送費,減価償却による高コストと問屋依存(場所貸し業)、NB中心(価格決定権なし)不採算の外商などで低粗利。百貨店の粗利益率が阪急で28%に比べブックオフで78、5%、Fフォックス65,9%である。
・ 収益構造改革のステップとして人件費をはじめに経費の引き下げ(ローコスト化),売上の底上げによる経費率の低減(相対的ローコスト化)、粗利益率の改善。
- 脱同質化への挑戦
・誰を相手に商売をするか,顧客対象の明確化がされる。
- アパレル業界に与える影響
- SPA型アパレルを中心に新ブランド開発、ショップ展開が加速する。売場での陣取り合戦が激化でショップの大型化と複合化がおこる。また百貨店とアパレルの共同企画商品展開やショップの多店舗展開で販売員の大量採用と確保が起こる。
- アパレルの供給構造の変化では百貨店の逆選別がおこり、納入ブランドや供給数量の格差までおこる。また複数アパレルと百貨店とのコラボ取引の拡充がある。
- アパレルの寡占化の進展
以上のことから2011年問題が百貨店業界、アパレル業界に与える影響が大きいことが理解出来た。また学生の就職先の情報として活用していける今回の内容であった。
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